ジュエリーができるまで原料から製品になるまで
ジュエリーが原料から製品になるまでの工程は、大きく「宝石と金属の調達」 「デザインと型作り」「製造」「仕上げ」の4つの段階に分かれます。
1. 原料の誕生と採取(数百万年〜)
宝石の生成: 地下深くで高い温度と圧力によりマグマが冷却される過程で、
数百万年から数十億年かけて結晶化します。
金属の精錬: 金・銀・プラチナなどの貴金属は、鉱石から抽出・精錬され、
純度や硬さ
を調整するために他の金属と混ぜて「合金(K18やPt950など)」に加工されます。
2. デザインと設計(1週間〜)
デザイン画: 宝石の魅力を引き出すイラストを描きます。
CAD/3Dモデル: PC上で精密な3Dデータを作成し、それをもとに樹脂やワックス
(ロウ)で立体的な「原型」を作ります。
3. 製造:鋳造(ちゅうぞう)と成形
ロストワックス鋳造: 石膏で作った型に、溶かした金属を流し込みます。
中のワックスが溶け出して空洞になり、そこに金属が収まることで、
複雑な形の「リング枠」が完成します。
研磨(下磨き): 鋳造直後の金属は表面がざらついているため、
ヤスリや回転工具で滑らかに整えます。
4. 仕上げと完成
石留(いしどめ): 熟練の職人が、爪を倒すなどの技法で宝石を枠に固定します。
非常に精密な作業です。
最終研磨・刻印: 全体を鏡のように磨き上げ、金属の種類やブランドの刻印を入れま
す。
検品: 傷や石の緩みがないか厳しくチェックし、合格したものが製品として
出荷されます。
オーダーメイドの場合、この一連の工程に1ヶ月〜3ヶ月程度の期間がかかるのが一般的です。
原料の採掘はどこでしょう
ジュエリーの原料となる宝石や貴金属は、世界各地の限られた地域で採掘されています。
2025年時点の主な産地は以下の通りです。
1. 貴金属(地金)の主な産地
金 (Gold): 世界最大の産出国は中国です。次いでロシア、オーストラリア、
カナダが主要な産地となっています。日本国内では、鹿児島県の菱刈鉱山が
現在も商業規模で操業している唯一の主要な金鉱山です。
プラチナ (Platinum): 世界の供給量の約6~7割を南アフリカが占めており、
圧倒的なシェアを誇ります。その他、ロシアやジンバブエ、カナダでも
採掘されます。
2. 宝石の主な産地
ダイヤモンド: 生産量ではロシアが世界1位を維持していますが、生産
金額ベースでは高品質な原石を産出するボツワナが1位となることが多いです。
その他、カナダ、アンゴラ、南アフリカなども主要な産地です。
色石(ルビー、サファイア、エメラルドなど):
ルビー・サファイア: タイ、ミャンマー、スリランカ、マダガスカルなどが有
名です。
エメラルド: コロンビアが最大の産地として知られています。
真珠: 日本(アコヤ真珠)、オーストラリア、インドネシア、タヒチなどが主な
養殖・採取地です。
3. 加工の拠点
原料が採掘された後、製品になる前の「研磨・加工」の工程は、産地とは別
場所で行われることが多くあります。
ダイヤモンドの研磨: 世界のダイヤモンドの多くはインド(ムンバイなど)で研磨さ
れます。
ジュエリー製品への加工: 日本国内では、山梨県甲府市が「宝石の街」として知られ、
世界中から集まった原料を製品へと仕立てる一大拠点となっています。
原料の推定埋蔵量はどうでしょう
ジュエリーの主要な原料である金やプラチナ、ダイヤモンドの推定埋蔵量は、2025年時点の
データで以下の通りです。
1. 金 (Gold)
推定埋蔵量(経済的に採掘可能): 約 54,000〜64,000トン。
現状: これまでに人類が採掘した金の総量は約21.6万トンで、埋蔵量は
全体の約20%程度を残すのみと言われています。
枯渇のリスク: 現在のペースで採掘を続けると、あと15年〜20年程度で
現在の技術で採れる分は尽きるという予測もあります。ただし、新しい
採掘技術の向上や価格上昇により、これまで採算が合わなかった場所が
「埋蔵量」に加わるため、即座になくなるわけではありません。
2. プラチナ (Platinum)
推定埋蔵量: 約 70,000トン。
現状: 埋蔵量の約9割が南アフリカに集中しており、供給リスクが非常
に高い金属です。希少性: 金よりもさらに希少で、有史以来の総生産量
は金の約30分の1程度しかありませ
ん。
3. ダイヤモンド
推定埋蔵量: 明確な数値化は困難ですが、現在稼働中の主要鉱山は今後
数十年で寿命を迎えるものが多いとされています。
新たな供給源: 天然の埋蔵量に限りがある一方で、2025年現在は
ラボグロウンダイヤモンド(人工ダイヤモンド)の技術が飛躍的に
向上しており、原料供給のあり方が大きく変わりつつあります。
まとめ:リサイクルの重要性
原料の埋蔵量には限りがあるため、2025年現在は「都市鉱山」と呼ばれ
るリサイクル
古いジュエリーを溶かして再利用する)が極めて重要視されています。特に金は、
年間供給量の約25〜30%がリサイクルによって賄われています。
原料サイクルからジュエリー製造まで有名な企業はどういうところでしょう
ジュエリー業界では、原料の調達(採掘)からデザイン、製造、販売までを自社
で一貫しておこなう。
「垂直統合型」のビジネスモデルを持つ企業が、信頼性と透明性の観点から高く評価され
ています。
2025年現在、このサイクルで特に有名な企業は以下の通りです。
1. ティファニー (Tiffany & Co.)
世界を代表する「垂直統合」の先駆者です。
原料調達: 2025年までに個別登録されたダイヤモンドの100%を、産地(鉱山)まで追
跡可能にする目標を掲げています。
製造: ベルギー、ボツワナ、タイ、ベトナム、カンボジアなどに自社のダイヤモンド研
磨工場を持ち、北米に5つのジュエリー製造拠点(ワークショップ)を運営しています。
特徴: 多くの高級ブランドが研磨済みダイヤを仕入れる中、ティファニーは原石の段階
で購入し、自社でカット・研磨を行うことで高い品質管理を実現しています。
2. パンドラ (Pandora)
世界最大の販売量を誇るデンマークのブランドで、独自の垂直統合モデルを持っています。
サステナビリティ: 2025年現在、製品に使用する金と銀の100%をリサイクル素材に切り
替えています。また、ラボグロウン(人工)ダイヤモンドの活用にも積極的です。
製造: タイに大規模な自社工場を構え、デザインから製造までを内製化することで、
高品質ながら手に取りやすい価格(アクセシブル・ラグジュアリー)を維持しています。
3. デビアス (De Beers)
もともと世界最大のダイヤモンド採掘企業ですが、自社ブランドでの製品化も行っています。
採掘から販売まで: ボツワナ、カナダ、ナミビア、南アフリカで自社鉱山を運営してお
り、そこで採掘された最高級の石を自社のジュエリーラインに供給しています。
透明性: ブロックチェーン技術を用いた「Tracr」というプラットフォームを活用し、鉱 山から店頭までの履歴をデジタルで管理しています。
4. リオ・ティント (Rio Tinto)
採掘大手ですが、特定のジュエリー製品やブランドへの原料供給で非常に有名です。
アーガイル・ピンクダイヤモンド: オーストラリアのアーガイル鉱山(2020年閉山)を 所有しており、2025年現在もその希少な在庫を特別なパートナー企業を通じて製品化
しています。
日本との関わり: 日本の宝石老舗企業であるカシケイなどは、長年にわたりリオ・テ
ィントとパートナーシップを組み、産地の確かなダイヤモンドを製品として展開して
います。
日本国内の動向
日本国内では、山梨県甲府市を拠点とする企業(ラッキー商会など)が、原料の買い付けか
ら加工・製造までを一貫して行う体制を整えており、国内外のブランドのOEM(受託製造)
や自社ブランド展開を支えています。
関係する社員労働者数はどのくらいになりそうですか
ジュエリーの原料採掘から製造・販売に至るまでのサプライチェーン全体に関わる労働者数
は、世界規模で数千万人にのぼると推定されます。
2025年時点のデータや主要企業の状況に基づいた内訳は以下の通りです。
1. 採掘段階(川上):約2,140万人
国際労働機関(ILO)の推計によれば、2025年の世界の鉱業セクター全体の従事者は約2,140万人に達しています。
金・ダイヤモンド採掘: 大手企業(デビアスやリオ・ティントなど)による近代的な鉱
山だけでなく、アフリカやアジアでの「小規模・手掘り採掘(ASM)」に従事する人々
が数百万規模で存在し、地域の貴重な雇用源となっています。
主要企業の例: 採掘大手のリオ・ティントなどは、グループ全体で数万人規模の従業員
を抱えています。
2. 製造・研磨段階(中流):約100万人以上
採掘された原料をジュエリーへと加工する工程です。
ダイヤモンド研磨: 世界のダイヤモンドの約9割が集中するインド(ムンバイやスラト)
だけで、約80万〜100万人が研磨作業に従事していると言われています。
ジュエリー製造: 前述のパンドラ(Pandora)はタイに大規模な自社工場を持ち、世界
全体で約3万人以上の従業員を雇用しています。
3. 小売・販売段階(川下):数十万人
ブランドの店舗やマーケティングに関わる人々です。
ティファニー (Tiffany & Co.): 世界全体で約1万4千人以上の従業員を擁しています。
LVMHグループ全体: ティファニーやブルガリを傘下に持つLVMHの「時計・宝飾部門」
全体では、さらに膨大な数の社員が販売や管理に携わっています。
4. 日本国内の状況
日本標準産業分類において「貴金属・宝石製品製造業」に分類される労働者は、山梨県甲府市
などの地場産業を中心に、国内で数万人規模と推定されます。
まとめ:
ジュエリー一つができるまでに、鉱山労働者、鑑定士、研磨職人、デザイナー、彫金師、そし
て販売員まで、世界中で直接的・間接的に3,000万人近い人々が関わっている計算になります。近年は、これらの労働者の権利や安全を守る「責任ある調達
(サステナビリティ)」が、業界全体の最重要課題となっています。
生産する商品の総金額は推定どのくらいでしょう
世界のジュエリー市場において生産・販売される商品の総金額(市場規模)は、2025年時点
で年間
約3,400億〜4,300億米ドル(日本円で約50兆円〜60兆円超)と推定されています。
市場規模の内訳(2025年推定)
ジュエリー市場全体: 約 3,426億6,000万米ドルから3,815億4,000万米ドルの範囲。
高級ジュエリー市場: 約 530億4,000万米ドル。
宝石・宝飾品市場(広義): 約 4,359億7,000万米ドル。
市場の主な動向
成長傾向: この市場は今後も成長が見込まれており、2025年から2030年にかけて年平均
成長率(CAGR)約4.6%〜5.3%で拡大すると予測されています。
最大の市場: 国別では中国が最大の収益源となっており、次いで米国が主要な消費市場です。
主要な素材: 金は耐久性と長期的な価値から日常使いや家宝として好まれており、プラチ
ナは希少性と低アレルギー性から高級品市場で人気を集めています。
日本の市場規模: 日本国内の宝飾品小売市場は、2024年に1兆1,300億円を超えています。
成長が見込まれる地域 国はどういうところでしょう
ジュエリー市場において、今後最も顕著な成長が見込まれるのは
アジア太平洋地域です。特に、以下の国々が成長を牽引すると期待されています。
成長が見込まれる主な地域・国
中国
市場規模: 2025年現在、すでにジュエリー市場で最大の収益を上げている国です。
成長要因: 急速な経済成長、中間層の拡大、都市化の進展が、高級品を含むジュ
エリーの需要を強く後押ししています。ゴールドジュエリーへの文化的な愛着
も根強いです。
インド
市場規模: 中国に次ぐ世界第2位の消費国です。
成長要因: インド文化においてゴールドや宝石は結婚式や祭典、富の蓄積に重要
な役割を果たすため、安定した高い需要があります。可処分所得の増加も成長
を支えています。
東南アジア・太平洋諸国(日本、韓国、ベトナム、タイなど)
成長要因: 日本や韓国といった成熟市場でも、高品質でミニマリストなデザイン
、K-POPやアニメの影響を受けた若者向けの現代的なデザインへの関心が高ま
っています。東南アジアでは経済発展と都市化に伴い、ラグジュアリー製品への
関心が高まっています。
中東・アフリカ
成長要因: この地域は販売数量ベースで最も速い成長を遂げると予測されており、
ゴールドジュエリーに対する強い文化的選好と富の増加が主な要因です。
その他の成長要因
北米・ヨーロッパ: これらの地域も引き続き重要な市場ですが、今後の成長はアジア
太平洋地域よりも緩やかになると見られています。ここでは、サステナビリティ
(持続可能性)やエシカル(倫理的)な調達に関心を持つ消費者が増加しており、
企業は透明性の高いサプライチェーン構築に注力しています。
全体として、ジュエリー市場の成長は、新興市場における中間層の拡大と都市化、そして若年層によるファッションアイテムとしての需要の増加によって牽引されています。
中国 日本 韓国などは人口減少が見込まれています。高齢者や富裕層の需要が高まると
予測されますか
中国、日本、韓国では、人口減少が進む一方で、
「シルバーエコニー(シニア経済)」と「富裕層」によるジュエリー需要は着実に高まると予測されています。
2025年時点の市場分析に基づくと、以下の3つのトレンドが顕著です。
1. 高齢層の「アクティブ・コンシューマー」化
かつての「介護を必要とする高齢者」というイメージから、現在は「健康で趣味や自己表現
に投資するアクティブなシニア」へとターゲットがシフトしています。
自分へのご褒美(セルフウェア): 2025年の調査では、特に中国においてジュエリー
の購入理由の37%(前年27%から急増)が「自分自身のため」であり、成熟した女性
がファッションや自己アイデンティティの維持のために購入するケースが増えてい
ます。
質の高い消費: 3世代にわたる資産蓄積背景を持つシニア層は、単なる「安さ」よりも
「品質、歴史、ヘルスケアとの親和性」を重視する傾向にあります。
2. 富裕層による「投資価値」としての需要
経済の不確実性が高まる中、富裕層の間ではジュエリーを「装飾品」だけでなく「資産」とし
て捉える動きが強まっています。
資産保全: 高価格帯のゴールドジュエリーや、希少価値の高い宝石(ダイヤモンドや
色石)に対する需要は、富裕層の資産防衛策として安定しています。
ブランド志向: 2025年は、ノーブランド品よりも「ティファニー」や「LVMHグループ
(ブルガリ等)」といった、将来的なリセールバリューが高い有名ブランド品
(Branded Jewellery)の成長率が市場全体を上回ると予測されています。
3. 地域別の特徴
中国: 60歳以上の人口が約3億人に達し、シニア向け市場(シルバーエコノミー)
は2035年までに約30兆元(約600兆円超)規模へ急拡大すると予測されており、
ジュエリー業界もこの巨大市場を注視しています。
日本・韓国: 世界で最も高齢化が進む国々(2050年には人口の約40%が65歳以上)
であり、可処分所得の高いシニア層を対象とした「パーソナライズ(特注)」や
「体験型ラグジュアリー」の需要が、人口減による市場縮小を補う形になっています。
結論として:
人口は減るものの、「一人あたりの購買単価」が高い高齢者や富裕層が市場の主役に躍り出ています。企業側も「若者向け」から「本物志向のシニア・富裕層向
け」へと、デザインやマーケティング戦略を2025年現在、大きく舵を切っています。
0 件のコメント:
コメントを投稿